書籍「しょぼい起業で生きていく」を読んで、共感したことや改めての気づきや新たな発見を書き残しておく。
「嫌なことからは逃げろ」
「やりたくないことはやらない」「嫌なことからは逃げる」「生活保護という手段があるから飢え死にはしない」
強烈すぎるメッセージだ。
そしてそんな人たちに「しょぼい起業」を勧めている。「しょぼい起業」とは一体どんな事業なんだろう?
しょぼい起業の基本的な発想
生活の資本化
自給自足的な発想で、自分の生活をすべて自分の労働で満たして、余ったぶんは売って資本化する。生活の中で自分のやれること・日常やっていることを事業化する。
資産の資本化
すでに持っているものを使ってお金を稼ぐ。
しょぼい店舗を持つ
- 引越しのつもりで開業してしまう
- お店は「ものを売っている」という目的が明確なので、人が入ってきやすい
- 「基本自分で全部やってやる」の覚悟が必要
- 毎日同じ時間に開け、同じ時間に閉めるのが基本
- 「誰かが来る」ということは非常に大事
失敗しないための順序
事業計画は作ってもどうせうまくいかないのがしょぼい店舗。
「資金を集めて、店を借りて、許可をとって、設備を整えて、営業」ではなく、「店を借りて、営業して、お金を集めて、設備を整えて、必要な許可を取る」ことが失敗しないための順序。
アイデアを事業にするのではなく、人とのつながりや置かれている環境などの条件から、自分にできそうなことを発見して事業化していく。
どんな人が出資してもらえるのか
「こんなおもしろいことをやりたい」より「始めてしまったけどこの部分でどうしてもお金がないんです」とクオリティが低くても「なんらかの成果物を持ってくる」こと。
そのために、まず自分でできる範囲のことをやってみる。「いま、これができそう」を積み重ねていくほうがリスクは少ない。
しょぼい店舗が成功するには
しょぼいお店はあなた自身が商品。あなたに会いたいと思う人が来ると、あなたの店はスタバやマックより価値があることになる。
そもそも周りのお店や地元住民、みんなに好かれないとそもそも人がやって来ない。
資源を眠らせてはいけない。商品が適正な価格で売れている必要はなく、タダでもいいからすべての資産を動かし続け、眠らせないことが重要。採算や客単価とかは店が満員になったり、商品が売れるようになってから考えること。
生活・資産の労働力化
人を動かすための原動力(対価)はお金だけではない
- 人に無料でものをあげる
- むしろ私が無料で相手を手伝いに行く
たとえばふだんからこんな感じで友好的な関係を築いてれば、「それくらいのことならやるよ」という協力者は現れる。
重要なのは、完全に本人の自由意志でいろいろ店の仕事を手伝うこと。
「貸し借り」であり「信用」が生活・資産の労働力化の原理。
ちなみに、相手がやりたくないことをお金を払わず、あるいは格安でやらせるのは完全に悪徳。信頼関係もないのに人の成果物を格安で買おうとする人も完全アウト。
もちろん、お金がじゃんじゃん儲かったらちゃんと還元する。ベンチャー企業が成功したあと、人が離れていってコケるパターンはこれが多い。
しょぼい店舗を流行らせる
- 「無料の品」で店の前まで来てもらう
- 必要とされるお店は、お客さんが勝手に宣伝してくれる(「宣伝してくれたら無料」はしょぼい店舗では効果が薄い。「好き勝手宣伝してもらう」「勝手に宣伝してくれたらRTする」が正解
- 広告宣伝費は、あなたの足や愛想でまかなうもの
- SNS運用は店舗のSNSではなく、SNSを店舗にする
- 仕事をしている人のところに、仕事は来る
- 「なんとなく楽しそう感」が人を集める
- 「価値の言い換え」でイメージアップ戦略
しょぼい店舗の実例
実例として紹介されていた「しょぼい喫茶店」。これってまさにぼくが起業する際にチャンレンジしたかったことの一つだった。それを思い出して、かなり感動している。もし脱サラしたときに、お店をやっていたらどうなっていたか。そんなことは今更考えてもしょうがないが、原点の心を思い出せて嬉しい。
読み終えて
しょぼい喫茶店には一度行ってみたいと思った。
まずはやってみる。この境地はよく心得ているつもりだ。だがしかし、お店を持つというのは、ぼくにとっては今もなおハードルが高い。
ここ数年で二人の知人がそれぞれお店を開いたが、数ヶ月も持たずに閉店しまった。
この事実は、この本で紹介されているような「とりあえずお店を開こう」というメッセージを鵜呑みにしてはいけない何かを感じる。
せめて半年間は収入0でも成り立つくらいの開業資金はせめて必要なのではと思ったりもする。
とはいえ、まずはやってみる、というマインドが必要なのも理解している。この本はそんなぼくの肩を「ぽん」と叩いてくれたような気がする。