一般的に広まっている「レスポンシブWebデザイン」
レスポンシブ対応でWeb制作することが多くなった。
だがしかし、一般的に使われる「レスポンシブWebでデザイン」というフレーズに違和感を覚えている。
その実態は「ひとつのHTMLファイルで、ビューポートをセットして、CSSのメディアクエリーである横幅サイズをPCとスマホ用の起点として見た目を切り替えること」を指すケースがほとんどだからだ。
本来の「レスポンシブWebデザイン」とは?
本来の「レスポンシブWebデザイン」とは、幅広いデバイス(たとえばスマホやタブレット、デスクトップ)に対して、見た目や操作性が最適化されたウェブデザインの手法のことである。
極端なことを言ってしまえば、メディアクエリを使わずにHTMLファイルを用意して、どのデバイスからのアクセスか判別して出し分けることも、立派な「レスポンシブWebデザイン」のはずだ。
「レスポンシブWebデザイン」の起源
Wikipediaで調べてみた
イーサン・マルコッテは、A List Apartの2010年5月の記事で、レスポンシブウェブデザイン (Responsive Web Design, RWD) という用語 (フルードグリッド、フレキシブルイメージ、メディアクエリを意味すると定義) を新造した。
Wikipedia「レスポンシブウェブデザイン」の記事内から抜粋
なるほど。「メディアクエリ」だけでなく、「フルードグリッド」「フレキシブルイメージ」も含まれてしっくりきた。
イーサン・マルコッテのオリジナル記事を読んでみた
そもそも彼は「デスクトップやスマホだけでなく、それ以外のデバイス別にコンテンツを用意したとして、それらすべてをサポートしつ続けることができますか?」と問題提起している。
その解決手段のひとつとして「メディアクエリ」の利用を提案。
彼は、(当時)デスクトップでの閲覧を想定した固定ではないフレキシブルなデザインだけでは、今後の対応は足りないと危惧。その例としてスマホを取り上げ、メディアクエリーを用いた実装例が紹介されている。
記事元:Responsive Web Design · An A List Apart Article
あらためて「レスポンシブWebデザイン」とは?
重要なポイントは、2つあると思う。
- 運営側にとって「メンテナンス」が煩雑にならないこと
- 利用側にとって「見やすい・使いやすい」こと
利用側は、どのように閲覧するかは様々(たとえば、スマホ、タブレット、デスクトップ、印刷物など)であることが前提。
また、イーサン・マルコッテの記事の最後には、こうも書かれている。ユーザーの目的によってはデバイスごとに異なるコンテンツを提供するほうがよいケースもあるかもしれない。それはつまり、「フルードグリッド」「フレキシブルイメージ」「メディアクエリ」のデザイン手法以外のことも考える必要がある、ということだ。
考えたいこと
「メンテナンス」が煩雑しないようにする手段の一つとして「メディアクエリー」が紹介されているわけだが、もし「メディアクエリー」を使わなくても、利用側にとって「見やすい・使いやすい」ことを担保しつつ「メンテンナス性」が向上するなら?
常に課題意識として持ち合わせるべきだと思う。
WordPressのような容易にコンテンツをカスタマイズできるCMSの普及によって選択肢は増えている。
結局、「レスポンシブWebデザイン」って?
イーサン・マルコッテの記事に紹介された「手法」を指すか、「マインド」を指すかで捉え方は変わる。
手法
「フルードグリッド」「フレキシブルイメージ」「メディアクエリ」のデザイン手法を用いて制作すること。
マインド
「幅広いデバイスに対して、運営側・利用側の双方にとって最適化する」にフォーカスし、それを解決すること。
臨機応変に
現場では、スマホでもPCでもそれなりに見えることを「レスポンシブに対応している」と言われる。違和感を感じたとしても、一旦受け入れ、レスポンシブWebデザインとしては「フルードグリッド」「フレキシブルイメージ」「メディアクエリ」の考えを持って返答する。このスタイルがもっともスマートでスペシャルで、みんながハッピーだと思います。
ユーザー視点
どんなデザイン手法を用いたとしても、忘れてはならないのは、それは「ユーザーにとって最適か」どうかということ。
たとえば、iPhoneで考えてみる。iPhone 5/7/7 Plus。それぞれ異なる解像度のデバイスだ。たとえばどのような見せ方が「最適」なのだろう?
解像度が大きいほど情報量を多く見せるのがいいのか、どのデバイスも同じ比率で見せるのがいいのか、とか。縦向き、横向きは?とか。
もちろんターゲット・ユーザーと提供する内容によって、答えは異なる。
あらゆるデバイスや閲覧の仕方にひとつずつ「最適化」しましょう、という話しではなく、費用対効果と運用面に配慮し「ターゲット・ユーザー」を明確にイメージしましょう、ということ。
デザインする場合はもちろん、デザインをコーディングする場合においても、「ターゲット・ユーザー」を意識しながら制作することは、より良い成果物につながります。