この本に書かれているほとんどの大義については、元からそういうことを理解できるタイプだったことと、それなりに歳を重ねていることともあって、新鮮味は正直なかった。
ぼくにとっては、既知であることの確認のような感じ。
ただ一つ、新たなマインドというか、これまで自己嫌悪だったことを前向きに捉えることできる内容があった。
人として自分を許せないときがある。
たとえば電車で目の前にいる年配の方に席を譲れなかったり。
声をかけよう、でもこう思われるかもな、とか、偽善に思われたら嫌だなとか、できない理由を付けて、後になって自己嫌悪に陥る。
その感覚が年を重ねるとマヒしてきてしまうのだが、少なくとも失ってはいない。
そして、そうしたシーンは未だに鮮明に思い出してしまう。自己嫌悪の記憶。
そんな状況に対して本書はこう語る。
「イヤな気持ちにはならない。
むしろそんな自分にお礼を言いたいくらい。
自分の中に少しでも綺麗な心が湧いてきたら、今度こそそれを生かさなきゃと背中を押してくれることがあるから」
なるほど。そう捉えたことがこれまでなかった。まさかポジティブに捉えることができるとは意外すぎた。